秋津良晴 akitstu
●梨
幸水(赤梨系)
いわゆる梨は、正確には和梨というそうです。調べてみて、その種類の多さに驚きました。1735年(暴れん坊将軍:吉宗の時代)には、既に150もの品種があったというから驚きです。
ナシの品種は、果皮の色から黄褐色の赤梨系と淡黄緑色の青梨系に分けられますが、多くの品種は赤梨系だそうです。青梨系は二十世紀、八雲、菊水、新世紀、瑞秋(二十一世紀梨)など数が少ないそうです。 品種改良は20世紀の初め頃からさかんに行われるようになりました。 ちなみに、幸水(こうすい)、豊水:(ほうすい)、二十世紀:(にじっせいき)、新高(にいたか)、新興(しんこう)、南水(なんすい)、長十郎(ちょうじゅうろう)、愛宕(あたご)、晩三吉(おくさんきち)、多摩(たま)、新水(しんすい)、あきづき、雲井(くもい)、彩玉(さいぎょく)、稲城(いなぎ)、新甘泉(しんかんせん)、にっこり、きらり、ゴールド二十世紀、おさ二十世紀、おさゴールド、菊水(きくすい)、なつひめ、などがあります。いくつ知ってました?
現在では幸水、豊水、二十世紀、新高の4品種だけで、収穫量の約9割を占めているそうです。
物語中の「ゆめちゃん」が食べた梨は「二十世紀」だったようです。
二十世紀(青梨系)
 
職業柄、スタッフ同士はあまりおしゃべりをしません。うちの会社のように小さなところでは「おしゃべり」は決して無駄話ではありません。それどころか、その中からアイディアが生まれたりするものなのです。もっと大事なことは「あらたまった会話」では伝わらない情報が得られるのです。どうしたらスタッフ同士がおしゃべりするようになるかを考えました。そんな時、NHK朝の連続TV小説『おはなはん』を思い出したのです。当時、『おはなはん』が終わるのが午前8時15分。16分には近所のおばちゃんたちがちらほらと玄関を出て来、「見たア」と声をかけあいます。ひとしきりドラマの話に花が咲き、界隈がパッと明るくなりました。スタッフ同士が「あのような場」を持ってくれればという思いで『連続ネット小説』を思い立ちました。いいアイディアだと思ったんです。毎日、書き、発信し続けました。その努力は自分で言うのもなんですが、涙ぐましいものでした。結果、楽しんではくれたみたいなんですが、パッと明るく話が弾むというワケにはいきませんでした。根が深いですね。
 
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文・構成
秋津良晴
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Web Design
Tom Jefferson
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絵師
すどう・やすこ
なかやま・しげこ
 須藤康子さんことやっこさん。学生の頃から島津デザイン事務所にアルバイトにきているので、大久保さんの次に会社との付き合いが長いんです。
 彼女の最大の武器はスピード。通常の人の二倍から三倍は早いんです。そして、彼女の仕事のほとんどがチーム仕事なので、その能力はみんなから重宝がられます。 うらやましく思われるそんな能力を持つ彼女ですが、彼女なりの悩みもあり、「心に余裕を」といつも言っています。それだけ早いのだから十分に余裕が持てそうなものですが、心配性で目の前に仕事があると気が気じゃないみたいです。強迫観念が彼女の仕事の速さの秘密だったのですね。彼女も、それでは余裕はもてないと解っているようですが、解っていてもやらずにはいられないのです。おかげで周りは大助かりです。(笑)
Yasuko Sudo
by 須藤康子
『恐竜研究所へようこそ』
AB版 並製 童心社
企画の段階から関わったので、編集者の人とも会話が多くなり、少しは内容に即した、納得する本作りができました。
 
 
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連続ネット小説『彼方のゆめちゃん』
 
第1話 「記憶」
 
 ゆめちゃんの最初の記憶は「おかあさんの膝の上」です。おかあさんが何をしていたのかはわかりません。柔らかい、春の日差しに誘われるように縁側に座り、ゆめちゃんを膝の上に抱いていました。ゆめちゃんは気持ちの良さに、時折、意識を失いました。黄色い花にモンシロチョウが、ふわり、ふわり。のどかな光景が繰り返されていました。
 
 ゆめちゃんのふたつ目の記憶は「おねしょ」です。その前の日、おにいちゃんとおねえちゃんは、おとうさんに連れられて映画を観に行きました。ゆめちゃんは、おかあさんと留守番です。ゆめちゃんが不服だったのは言うまでもありません。ゆめちゃんは、「どうして連れて行ってくれないの」と、おとうさんに聞きました。おとうさんは「ゆめちゃん、寝てしまうでしょ」と言いました。「寝ないから」とゆめちゃんが言うと、「ゆめちゃんには解らない映画だから」と言いました。ゆめちゃんは「最初から連れていかないと決めているんだ」と分かりました。ゆめちゃんは、おとうさん、おにいちゃん、おねえちゃん達から、仲間はずれにされたようで、悲しくなりました。目と鼻の周りが「つーん」として、頭の中が真っ白になると、ふたつの瞼から「つー」っと、涙が落ちてきました。声もなく、肩が震えて見えました。
 
 その時でした。後ろから「ゆめちゃーん」と呼ぶ声が聞こえました。おかあさんの声です。ゆめちゃんは返事をしようと思うのですが、胸が痙攣するようにひくひくして、答えられません。もう一度、「ゆめちゃーん」と言う声が聞こえました。ゆめちゃんは返事ができないので、おかあさんの所まで行くことにしました。するとどうでしょう、おかあさんが「これ、食べなさい」って差し出したものがあります。大きな梨でした。ゆめちゃんの大好物です。ゆめちゃんの頭の中が色付き始めました。
 
 ゆめちゃんは、おかあさんとふたりだけの夕食のあとに梨を食べました。皮ごとです。ゆめちゃんはりんごや梨を皮ごと食べるのが大好きです。大きな口をあけて「がぶり」と食べると、なぜか元気がでるのです。意味の解らない「ラヂオ放送」を聴きながら、がぶり、がぶりと梨を食べました。そして、翌朝、ゆめちゃんのふとんは洪水に見舞われたのです。
 
            
 
連続ネット小説『彼方のゆめちゃん』
 
第2話 「隣りのお姉さん」
 
 ゆめちゃんのお家の左隣にお姉さんがふたりと、寝たきりの弟さんが住んでいます。蔦江(つたえ)さんと美佐子さんとマー坊です。マー坊は、ほんとうは昌夫さんと言います。蔦江さんは、若いのに、なり振り構わず動き回る働き者です。美佐子さんはいつも楽しそうにしています。マー坊は言葉が不自由で話せませんが、ゆめちゃんが行くと嬉しそうに体を動かします。蔦江さんはゆめちゃんに、「また遊びに来てね」と言います。ゆめちゃんはほんとうは行きたくないけれど、蔦江さんやマー坊が喜んでくれるので、二、三日に一度は遊びに行く事にしています。
 
 いつものように、ゆめちゃんは蔦江さんの家へ遊びに行きました。そして、寝たきりのマー坊の所へ行き、「マー坊」と呼ぶと、マー坊は体を動かしました。マー坊が元気なことが分かるとゆめちゃんはホッとしました。そのあとも、ゆめちゃんは何度か「マー坊」と呼びました。ふたりの遊びは、ただそれを繰り返すことでした。その間、蔦江さんは台所で、せっせと働いています。その内、いい匂いがしてきました。カレーライスの匂いです。蔦江さんは、ゆめちゃんがカレーライスが大好きな事を知っていました。
 
 蔦江さんは、ゆめちゃんがあまり来たくないのに来てくれる事が嬉しくて、いつも何かを作ってくれます。ゆめちゃんはとても嬉しいのですが、ちょっと悲しいとも思います。なぜなら、蔦江さんの家はあまりお金がないからです。ゆめちゃんはある日の夜、おとうさんとおかあさんが「借金で大変らしい」と話しているのを聞いていました。でも、蔦江さんはこぼれるような笑顔で、「ゆめちゃん、食べて」と言い、カレーライスを出してくれました。ゆめちゃんは、大きな声で「いただきまーす」と言って、大きなスプーンを小さな口に運びました。
 
 ゆめちゃんは、蔦江さんの妹の美佐子さんが眩しく見えます。お月様のような白い顔に赤い口紅が、よその国の女性のようです。ゆめちゃんが、家の前で遊んでいると「ゆめちゃーん」と、呼ぶ声がしました。振り返ると美佐子さんです。めずらしく、蛇口の前にしゃがんで洗濯をしていました。白く光る笑顔に、年長の友達二、三人から歓声があがりました。美佐子さんは近所でも評判の美人です。ゆめちゃんは美人のお姉さんに名前を呼ばれて、少し誇らしく、少し恥ずかしい思いでした。
 
 その日の夜も、ゆめちゃんは眠い目をこすりながら宿題を終わらせました。おかあさんが、「もう寝なさい」と言うのも聞かずに、テーブルでおはじき遊びをしていました。と、裏口が騒がしくなりました。近所のおばさんたちが集まって来たのです。こういうことが時々ありました。そんな時は決まって、何かの事件が起こっているのを、ゆめちゃんは知っていました。田中さんちと、みっちゃんちのおばさん二人が入り口に立っていました。おかあさんはゆめちゃんに、「奥へ行ってなさい」と、恐い顔をしました。
 
 朝、七時になるときくちゃんちの前に子供たちが集まります。集団登校です。そこには木切れを入れたガンガンがあり、火がつけてあります。みっちゃんちのおじさんが、子供たちのために暖かくしてくれているのです。ゆめちゃんは寝坊さんなので、その日も最後になりました。ゆめちゃんがガンガンの前に立つと、誰かが「しゅっぱーつ」と、言いました。遅く来たゆめちゃんに意地悪しているようでした。そんな時、決まって、年長の勉さんが「ゆめちゃんがあったかくなるまで」と、意地悪した子を睨みつけます。ゆめちゃんは、勉さんが大好きです。
 
 ゆめちゃんの学校は、歩いて二十分の所にあります。そこまで行くのにみんな遠足気分です。やっと、目覚めたゆめちゃんに、みっちゃんが「知っちょる?」と、意味ありげに聞きました。ゆめちゃんが「ん」と怪訝を装うと、みっちゃんは「かけおち」、「かけおちだよ」と言って、笑いました。どこか卑猥な笑いでした。ゆめちゃんは関わってはいけないと思って黙っていると、「美佐子さんやがーっ」と絡んできます。ゆめちゃんは昨日の夜のおかあさんの恐い顔を思い出しました。そして、蔦江さんやマー坊の顔が浮かび、悲しくなりました。ゆめちゃんは暗く沈んだ気持ちに耐えていましたが、みっちゃんは、なんだかんだ絡んで離れません。すると、勉さんが「ポカリ」と、みっちゃんをぶちました。
 
 その日の夜の事、おとうさんとおかあさんが、言葉すくなに話していました。「男の人」とか「お金」とか言う言葉で、ゆめちゃんは察しがつきました。ふたりは、美佐子さんの話をしているのです。でも、「かけおち」と言う言葉は聞こえてきません。ゆめちゃんはドキドキしながら、聞かぬふりを装っていました。美佐子さんはこの年、中学校を卒業しました。同級生が高校受験で、夜遅くまで勉強している時、美佐子さんは、近くの町まで出かけて行って、アルバイトをしていたのです。そこで知り合った男の人の紹介で、この春から、東京で働く事になったそうです。ゆめちゃんの脳裏に、勉さんから、ポカリとぶたれたみっちゃんの顔が浮かびました。
 
 
 
 
 
(C)All Rights Reserved. 2011 Akitsu Yoshiharu
 
『樋口一葉 初期小説の展開』
A5版 上製 翰林書房
久々に装幀の絵も自分で描きました。学生の頃、絵ばかり描いていた時の感覚が戻るまで苦労しました。実は、デザイナーの私、絵も描けるんです。
 
化粧品『Point III』
箱・チューブサーフェイス
光和食品株式会社
この商品は自分の年齢より上の人が使う商品なので、ちょっと「おすまし」して、私があこがれる「おしゃれでいて気品高い」大人の女性をイメージしながら作りました。
『ポピュラーソロギターシリーズ』
菊倍版 並製 中央アート出版
懐かしい時代の音楽がモチーフなのでその雰囲気を意識したタイトルレタリングを島津さんにお願いして、それでキマリ。文字の力はすごいです!
 
 
雑誌『Goods Press/時計店の詞』連載
A4版変形 並製・徳間書店
雑誌の仕事は時間がありません。そんな中でも、毎回工夫をしていかないと読者に飽きられてしまう…。焦れば焦るほど、アイデアは逃げていきます。勝負どころでは腹をくくります。その日、家族の食事は超簡単。それでも、不平を言われた事はありません。家族に感謝!
 
 
●ライスカレー
ボクが中学だったか、高校生だったか、友だち同士、家族間で「カレーライス」と「ライスカレー」はどう違うかが話題になっていました。以下、その一例です。
ご飯とカレーソースが別々に、あるいは横長の深皿で左右に寄せて出されるものがカレーライスで、丸い平皿のご飯の上にまんべんなくかかったものがライスカレー。和風のだしを用いたものがライスカレー、洋風のスープを用いたものがカレーライス。黄色みの強いものがライスカレー、茶色っぽいものがカレーライス。とろみの強いものがライスカレー、さらっとしたものがカレーライス。(逆の意見もある)。ライスが多けりゃライスカレー、カレーが多けりゃカレーライス」などです。
また、戦前の日本では陸軍ではライスカレー、海軍ではカレイライスと呼ばれていました。海軍のレシピではスープストックを用い、小麦粉を狐色になるまで炒めたもので、陸軍では小麦粉とカレー粉をラードで攪拌したものだったそうです。陸軍と海軍はこういうことでも張り合っていたんですね。
どうやら和的なものがライスカレーで、洋的(オシャレ)なものがカレーライスといった感じでしょうか。
 
●カレー粉とカレールウ
ゆめちゃんが小学生の頃はSBのカレー粉と小麦粉で作った「黄色いライスカレー」でした。肉なんて入っていません。代わりに「てんぷら(さつま揚げ)」が入っていました。とろみをつけるために「かたくり粉」を加えたりしていました。それでね、しょう油をかけ回して、スプーンでかき混ぜながら食べるのです。何杯もおかわりしましたよ。
       
ゆめちゃんの食べたカレー
 
その頃はルウなんてありません。粉末の製品は1926年にハウス食品が「ホームカレー粉」という商品名で初めて発売し、固形製品は、1954年にエスビー食品が初めて発売しました。
 
固形のカレールウ 1954年発売
おなじみのルウ 1964年発売
 
●美佐子さんのファッション
物語の中の美佐子さんのファッションを思い出してみました。NHK朝の連ドラ『おひさま』で見れます。まだ、放送しているかな? よくよく考えてみれば映画『ローマの休日』のオードリーのファッションだったのですね。とてもキュートで可愛かったですよ、美佐子さん。
 
 
Everyday Work series
本の装幀
雑誌のエディトリアル
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